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前回までの内容

第13回「家と家族と健康」会長の加藤優二さん(優設計事務所)

第13回は、平成17年5月28日に「家と家族と健康」というテーマで開催しました。
座談会講演者は、風と木の会1周年を記念して会長の加藤優二さん(優設計事務所)でした。

以下、お話の概要です。

最近は健康住宅と言うことがよく言われていて、多くの住宅メーカーや販売業者が健康をキーワードにしているが、商売のために家の健康が取り上げられてはならないと思う。
健康の適用範囲は無限大で、総合的なものである。(これとこれが健康にいいから健康住宅というようなものではない)
家を作るときには、通常最初に予算ありきで、次に夢が来る。住めるだけでいいという人もいるが、その人にとってはそれが夢なのである。
大概は「ドアは・・カーテンは・・照明は・・こんな家に住みたい」という夢がふくらむ。でもちょっと待って、家族の居場所は?私はどこに居ればいいの?・・そういう大事なことが後回しになりがちだ。人に見せるための家ではなく、家は家族のモノであるという基本に立ち返る必要がある。
昔の家は、暖かいところに家族が集まり会話が生まれていた。家族が自然に集まる場所があった。それが理想型であるが、現代ではなかなか難しい。今は、家の中心として居間を作るが、そこの主人はテレビである。家族は自然と集まるが、会話はほとんどない。
私は家の中心は台所だと思っている。昔、暖かいところと言えば火の近くだった。自ずと炊事をする場所あるいはその近くに人は集まっていたのである。家族が生きていくための糧を用意する場所である。テレビよりも人へのエネルギーが高い場所だと思う。ここに家族を集めたい。家族に背中を向けた台所ではなくて、家族と顔を見合わせて話ができるような、料理をしながら家族の様子が分かるような暖かい台所である。父親も台所に立ちたくなるような・・私は、男の自立のキーワードは“料理”だと思っている。
また、理想的な家として、子どもが引き継ぎたい家であることも大事だと思う。家の中で孤独にならない家は居心地の良い精神的にも健康にしてくれる家なのである。例えば、吹き抜けは採光のためだけではなく、むしろ個室化した家の中で家族に声が届く距離(近さ)を作るものだと考えている。

2階建ての家と平屋の家ではどちらに住みたいですか?私は、宮崎には2階建ての家を作るべきだと思う。歳をとったら足腰が弱くなるので2階は作らない・・これではダメ。都会に比べて地方ほど車社会であり、自分の足を使わなくなってきているため、なるべく自然に足腰を使うような生活をしておかなければ、衰えが早く来てしまう。どうしても階段が上れなくなるまでは2階はあった方が健康のためだと思う。
四季を感じて生活できる家であることも健康住宅の条件だと思う。冬にTシャツ1枚で過ごせるほど暖かい家、夏に上着が必要なほど涼しい家が健康住宅だと思いますか?自然と家が共存し、けんかしない家が理想。
例えば、家の中で森林浴ができるような家。それはどういう家か?気持ちよく森林浴ができる森は木の数、葉っぱの量、土の面積、それぞれの色合い、温度、湿度など全てのバランスが保たれている。家でも室内環境のバランスが大事である。例えば、木をふんだんに使うから健康にいいというわけではない。木も呼吸ができるようにして土壁などと組み合わせることでバランスを取る。
あるとき、畳屋さんに健康畳を作ろうと持ち掛けたことがあるが、 そんな畳はお客からクレームが来ると断られたことがある。それは、自然素材のみを使って良く呼吸するような畳を作ると、呼吸をしない今の建材のしわ寄せが全て畳に来てしまって、長持ちしないのだそうだ。考えてみれば畳が室内のバランスを保とうとして身を犠牲にしているのに、その価値を分かってくれる人が少ないということでもある。
人は、囲炉裏のある民家に行くとなぜか落ち着く、昔ながらの土壁に触ったり板の間に座るとなぜか落ち着く。日本人は代々そういう生活をしてきた。火を囲む場所や自然に近い建材に触れるとDNAが落ち着くのである。健康な家を考えるときに外せない基本である。

このときの記事が、宮崎日日新聞に掲載されました。こちらをご覧下さい。

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