
第5回は、平成16年9月18日に「整体と健康」というテーマで開催しました。
ゲストは整体士の荒武 勉さんでした。
荒武さんは、 1937年東京生まれ。宮崎高等商業学校卒業後、54年から宮崎市の橘通で衣料品店を始められ、宮崎西中時代から武道空手(沖縄剛柔流)に親しみ、現在4段。空手道の中から独自の武道整体を体得し、85年に荒武整体を開業。県内各地を巡りながらこれまでに数十万人を整体されました。昨年夏、胃がんが見つかり、血圧が30まで下がる中で胃を全摘出。持ち前の気力で生還を果たし、現在も整体業を続けていらっしゃいます。
座談会は整体の実演などを交え、整体は“気”の療法であり、病気のきっかけになる「気の乱れ」を整えることを第一とするが、気にも愛情が備わっていなければ相手に伝わらない。また、ご自身の体験から病気の克服に最も大事なのは家族の愛情であるなどとお話しされました。
このときの様子が、宮崎日日新聞2004年10月7日号に掲載されました。
こちらでご覧いただけます。
9月18日に開催された第5回の風と木の会は整体士の荒武 勉さんをゲストにお招きしました。
(以下プロフィール)
1937年東京生まれ。宮崎高等商業学校卒業後、54年から宮崎市の橘通で衣料品店を始める。宮崎西中時代から武道空手(沖縄剛柔流)に親しみ、現在4段。空手道の中から独自の武道整体を体得し、85年に荒武整体を開業。県内各地を巡りながらこれまでに数十万人を整体している。昨年夏、胃がんが見つかり、血圧が30まで下がる中で胃を全摘出。持ち前の気力で生還を果たし、現在も整体業を続けている。
以下、お話しの詳細です。(文中“私”は荒武さん)
【整体は“気“の療法】
整体というのは技が30%精神的なものが70%である。
実は整体の患者さんの中には、うつ病や自殺を考えるような人が多い。
武術は“気”を重んじる世界であるが、(武術から来た)整体は気(=意識)の療法とも言え、気学とも言う。
多くの場合、人は自律神経の機能が低下した結果、身体に異常を来すことが多い。
自律神経がなぜ低下するか。それはストレスによるものであるが、非常に複雑である。(物理的には)白血球の働きが弱くなることが原因であるのだが、病気になるきっかけは“気の乱れ”と考えている。
ストレスというものは、生きている間は誰にでもあるあたりまえの事だが、それを苦労と考えるか、修行と考えるかによって結果が大きく違ってくる。
それこそ意識の問題であり、整体と言っても私はこの意識療法に力を入れてきた。
“気合い”という言葉がある。相手と気を合わせると言うことであるが、療術の場合、気合いは“気愛”である。気に愛情がなければ相手に伝わらない。
愛情を持って対すれば、気の流れが整い、体の痛みまでとれてくる。
恋をしているときは病気をしないでしょう?
病は気からと言うが、本当に気の持ちようが大切。
【精神的なケア】
ひとつの例として・・
ある障害者(車いす生活者)の女性がいたが、いつも明るく笑顔の方だった。
その笑顔を見るだけで力づけられるような方だったが、「世の中に自分が奉仕できることは微笑みしかない」と言われる人格者であった。
ところが、その方は心に大きな傷を負っておられた。
小学生の時に車いす生活者になったのだが、彼女は家族全員が教育関係者という家庭で育った。20代のあるとき、父親が来客に彼女を紹介するときに「役立たず」という言葉を使ったことが、その後の彼女の心に大きな傷となってしまい、体の痛みよりも心の痛みに耐えかねて自殺未遂にまで自分を追いつめてしまっていた。
私と知り合い、気を落ち着けていくことによって体の痛みと同時に心の痛みも少しずつ取れていった。心の痛みは完全にとりきれるものではないが、体の痛みは半年でなくなった。
(このように)整体というのは、体を触るだけではなく精神的なケアのウェイトが大きい。
病気のことをよく知ろうと考え、医学書を一生懸命勉強したが、分からないことは多い。ただし、長年の経験の中から相手の体のことが分かるようになってきた。自分で悩まないとダメである。悩まないと進歩がない。
自律神経は生命そのものだ。気というものは上げ下げさせてはいけない。常にレベルを一定に保つことで健康のバランスが保てる。(よく笑いが良いと言うが)笑いすぎると気がゆるみ過ぎるので良くない。また驚かされるとその瞬間気が下がってしまう。このように気を正常に保つのはなかなか難しい。
【命を天に任せる】
私は昨年大病をした。悪性のガンで手遅れと言われた。その説明を病院で淡々と聞き、数秒で「これで人生終わり」と理解した。その瞬間から「死なば死ね。生きらば生きれ」と天に任せた。
それから、1年経たないが、そんな病気をしたことは忘れているほどである。
それほど、前と変わらない生活をしている。ご飯も(前と同じように)3食ときには丼に2杯も食べるほどだ。
手術中も血圧が異常に下がり、意識が何度もなくなった。医師が奇跡と言ったほどである。
術後も初期を除いて痛み止めももらわず、抗ガン治療もせず、病院にも行かなかった。
それが善し悪しではなく、自分は体の免疫力を下げたくなかったのでそうしなかっただけであるが、そのような病気をしても不安も心配もなかった。
それは、先に行ったとおり命を天に任せたからだ。
不安を取り除くにも訓練が要る。死ぬための設計が必要だ。ずっと空手という武術をやってきたが、武術というのはもともと死ぬための勉強である。死に対しての修行をやってきたお陰で命を天に任せることができた。
【質問-->整体のコツ】
質問1)7年前に骨折し、6ヶ月入院した。今は正座するのが難しい。
一番良いのは柔軟体操をやること。下半身のツボは膝の裏にあるのでそこを押しながら太股の筋肉を伸ばすような柔軟体操を続けると良い。
質問2)ぎっくり腰になったらどうしたらよいか。
ぎっくり腰になったらなるべく動かず楽な格好でじっとしているのがよい。
無理に動かず、海老のように背中を丸めて横になって休む。少し動けるようになったら肘を曲げたまま支えるようにうつぶせになり、肘で後ろに押すようにしながら膝をたてて起きあがると腰に負担が来ない。
腰は体を支える大変重要な部分であるが、中でも仙骨(尾てい骨の上)は大事である。この骨は成長が遅く、25歳くらいまで軟骨が十分にかぶさっていないので若いときの無理がたたりやすい。
また、肩こりは基本的に筋肉が緊張し堅くなっている状態で、肩胛骨が全体的に関わっているので肩胛骨を動かすのが良い。
マッサージするときは大きな力でもんだり叩いたりしてはいけない。余計に筋肉の緊張を招くだけであり、筋を痛めてしまうことにもなりかねない。
肩は小さい力で長く揉むか、指先で軽く長い時間叩くのがよい。また、揉むときには肩胛骨の周りを重点的に行うと効果がある。
自分でやるときには鎖骨の下を骨に沿って押すのがよい。右の鎖骨は左手で、左の鎖骨は右手で行う。
質問3)夫が肺気腫であるが何か呼吸が楽になる方法は。
医学的に詳しく分からないのでなんとも言えないが、一番大切なのは家族の支え(愛情)だ。自分が大病したとき、妻が毎日来て何も言わずいつも頭をなでてくれたがそれだけで大きな愛情を感じることができ、気力が充実してきた。自らの体験からも何よりもまず愛情をもって見守ることが大事だと思う。
肺気腫は負担が心臓にきて大きくなってしまうので、血流を良くすることも大事。
“足心”というツボが土踏まずの近くにある。文字通り足の心臓である。ここを良く刺激すると血流が良くなる。また、手と足(特に足)の親指をつまむのも良い(5秒つまんでパッと離すことを5回ほど繰り返す)。これは免疫力を上げる効果がある。
【骨盤の役割】
さきほど腰の話をしたが、生命の源は骨盤である。子供が生まれるときに骨盤が大きな役割を果たすものでもある。
骨盤を正常に整えることが健康にもつながる。整体は骨盤を最も大事と考えている。
簡単に骨盤を整える方法がある。それは、うつぶせになり骨盤と背骨のつなぎ目(の少し下)の所を誰かに叩いてもらうのだが、そのとき重要なのは手のひらを(いなり寿司のように)少し丸め、中に空気を溜めてそれを打ち付けるようにして腰を適度な力でポンポンポンと数回叩く。不思議とこれだけで骨盤が正常になる。
【バランスを保つ】
毎日楽しく生きることが病気などの痛みを和らげることであるが、何事もバランスが大事である。
私も仕事や外ではよく話し、笑っているが家では比較的ブスッとしている。それで気力のバランスを保っていると思う。
以上が座談会の概要ですが、その後、実際に希望者に実演をして簡単にできる整体のコツなどを教えていただきました。
その後は、また料理やお酒を囲んで参加者それぞれ自分のペースで会話を楽しみ、三々五々と帰っていきました。
毎度のことですが、この会にはお開きの時間がありません。今回の最終組は19日朝の8時でした。
また次回の展開が楽しみです。